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2017.12.20

食も個性。“個の発想力”が共感を生み新しいコミュニティとなる時代。〜株式会社スマイルズ 遠山 正道さん〜

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食も個性。“個の発想力”が共感を生み新しいコミュニティとなる時代。〜株式会社スマイルズ 遠山 正道さん〜
衣食住の充実が日常を豊かにしてくれることはもちろんのこと、そこで生まれている新たなトレンドも未来のライフスタイルを想像させてくれます。そこで今回は株式会社スマイルズ代表の遠山 正道さんにインタビュー。「Soup Stock Tokyo」や「PASS THE BATTON」で知られ、「世の中の体温をあげる」をキーワードに新たな事業も展開する遠山さんが考える、次世代の生活者の価値観を、“食”の観点を軸に伺いました。

今回は株式会社スマイルズ代表取締役社長の遠山 正道さんにインタビュー。ファストフードにアンチテーゼを投げかけ一躍、新たな業態として定着した「Soup Stock Tokyo」を立ち上げ、その後もネクタイ専門店「giraffe」や、持ち主のストーリーをも楽しむ、従来のリサイクルショップの概念を覆す新しいセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」など、次々に生活の新しい価値観を生み出してきました。「世の中の体温をあげる」をキーワードに新たな事業も展開する遠山さんが考える、次世代の生活者の価値観を、“食”の観点を軸に伺いました。

団体戦から「個」の発想力の時代

——まず、現代の消費者をどう捉えているのか教えてください。

私の最近の実感だと、すごく個人の時代だなぁと感じます。20世紀は団体戦——企業においても大きな会社やチームが、ある目的に向かってどんどん進んでいく時代だった。つまり、まだ需要があった時代。今はご存知のように、都心部は供給過多になってしまい、様々なルールや仕組みが変わらざるをえないけれど、変われていない場所が多いと感じます。

個人の時代だと実感するのは、例えば、2016年にプロデュースした香川県豊島の体験型アート作品で、宿泊もできる『檸檬ホテル』。酒井という社員が夫婦で、香川県に移住したんです。「Soup Stock Tokyo」という組織の中でやっていた彼と、今、夫婦という単位でやっている彼を比べると、現在の方がすごく生き生きとしているんです。『檸檬ホテル』は酒井夫婦がやっているから地元にも愛されていて、うまくフィットできた感があります。

個という要素は、組織よりもリスクが少なく、発想が従来のルールに定められていた時代から、むしろ一人一人のアイデアや発想力が生きている環境になっています。例えば、どこかに住む家があったときに、それを30年ローンでというよりも、シェアや交換をしてみるとか、いろんな発想を広げて軽々と自分の働き方や生き方を選択していける時代ではないかと思います。

食のギャザリングから、一歩進んで一緒に作り合う喜びがコミュニケーションになる

——現代の消費者は「個人の時代」というお話をお聞きしましたが、「Soup Stock Tokyo」をはじめ食のあり方について、2000年代から未来について、どのようにお考えでしょうか。

「家の食事」と「外の食事」という区分で言うと、“家で一人で作って食べる”という行為はますます無くなっていくでしょうね。経済的にもやりづらい。だから家で食べる=複数人で食べるということになる。ただ、それは必ずしも家族ではないかもしれない。シェアハウス、シェアアパートメントで共通のキッチンがあったり、交代制でみんなの食事を作ってあげるかもしれない。作る時は複数人。料理=家族だったけど、料理=複数人、になってくるでしょうね。

料理をする時は、仲間を招いたり、家族がいたり、会話があったりしますが、“みんなで作り合う”というかたちも出てきそうですよね。ホームパーティーで1人1品持ってくるとかワインを持参するというようなギャザリングは今でもあるけど、もう少しみんなで分担する。それは労働力としても、喜びとしても、男も女もそれぞれいろんな分担があって、みんなで集まって食べて、そういうスタイルの呼び方とかが出てきそうな気がします。

——今だとギャザリングというのは、作ることではなくて持ち寄ることですけど、もう少し作るプロセスをみんなでやるということでしょうか?

もう少し機能が分担されて、下ごしらえする人は最後お皿洗ってゴミを捨てるとか、一連の流れの最初、真ん中、最後、みたいに分担する。食がある種のコミュニケーション化して、=(イコール)分業で仕事化する。複業の時代と言われるように、サラリーマンだけやっていればいいというのではなくて、マイ包丁を持っていて、「夜の俺は肉担当だから」みたいなことになるかもしれません。

入りやすいけど知的。食はすでに「文化」の領域へ

—食べることがコミュニケーション化するというのをもう少し詳しく伺いたいのですが。

「食」ってイケてるジャンルだと思うんです。トレンドよりも知的であり、入り易いけど立派に見えるという意味で、昭和20〜30年代の三島(由紀夫)文学やジャズ、60年代のフランス映画のように文化みたいなものがあった。今は大きく、「食」。食を語ることが、命やコミュニケーションの話、グレードの話、色々な分野に波及する側面があると思います。「文化」とは全部、本質的なものなんです。