自然浴生活 SPECIAL SITE

SHARE

PROFESSIONAL

2018.09.28

株式会社エバーグリーンエクステリア・代表取締役 石井 良男さん【前編】

いつまでも安心して使えるエバーグリーンな庭。その一本の木が家の価値を高める

SHARE

いつまでも安心して使えるエバーグリーンな庭。その一本の木が家の価値を高める
日々の暮らしや住空間に物足りなさを感じているなら、それは“お庭”で解決できるかもしれません。天気に関わらず洗濯物を干せる場所が欲しい、日当たりのいい場所でくつろげる時間が欲しい、家庭菜園に挑戦したい、雑草対策など手間のかからないお庭にしたい……。お庭を活用して、自然を取り入れた豊かな生活を送るためのヒントを日本各地のお庭づくりのプロフェッショナルに伺いました。

岡山県内に二つのショールームを置き、県内外はもちろん中国地方全域にその根を張ろうとする株式会社エバーグリーンエクステリア。代表取締役の石井 良男さんは20年の職人経験を持ち、その後エクステリア専門プランナーとなりました。常緑・不朽という意味を持つ“EVER GREEN”を社名に掲げた石井さんの想いを、岡山市内の2号店ショールームでお伺いしました。

「手をかけるほどかわいくなる」自ら育てた緑があふれるショールーム

倉敷市内の一号店に次いで岡山市南区に二号店がオープンしたのは2017年4月。緑の地に白抜き文字の看板が目印のショールームでまず目に飛び込んでくるのは、ヤシ科と思しき大きな木を中心にした、緑溢れる庭です。聞けばその艶やかなグリーンを育てているのは、石井さんご自身だそうです。

「まずは自分でも実践してみようと思い、庭全体を覆う芝などは自分で植えてみました。ただ、ちゃんと育てるのは思ったより大変ですね。特にこの夏は猛暑が続いたので、1日たりとも水やりを欠かせませんでした。でも、手をかける程かわいくなるんですよ。その喜びは、実際に体験してみないとわからないことでしたね」

庭を抜けてショールームの中に入ると、またしても気になるものを見つけました。壁に貼られた“情熱外構”という文字のポスターです。なかなか勇ましいメッセージですね、と感想を口にすると、石井さんは少しぶっきらぼうに、けれど照れ臭そうな笑顔を浮かべて、「エバーグリーンエクステリアの2018年スローガンです」と答えてくれました。

左官業に従事していた父親に倣い、自らも職人の道へ。父親を師匠に仰ぎ直接仕事を教わったものの、早い段階で袂を分かつ決心をしたのは、「昔ながらの職人の姿を尊敬しつつも、これからの時代に即した新しい職人像をつくり上げたかったから」だそうです。

「親父の世代の職人は、頑固で無口が当たり前。自分のやり方以外は認めないところもありました。でも今の時代、それはお客様に望まれるスタイルではありません。コンプライアンスへの意識も必要ですし、何しろお客様と話せないとダメ。そういう職人を育て、現代のニーズに即した親方教育をしなければ、と思ったのです」

そんな想いを抱え、独立を果たしたのは2014年4月。生まれ故郷の倉敷で、常緑・不朽という意味を含むエバーグリーンエクステリアを設立しました。

“絵心”に見る、庭づくりの心

自分が興した会社の社長を務めると言っても、最初は作業着をまとい分厚いカタログを手に持ち、一軒ずつ歩いて回る地道な営業活動からスタート。「今思えば順調に成長できたんじゃないでしょうか。会社設立と消費税の引き上げが重なったことも追い風になったと思います」。などと石井さんはうそぶくように話しましたが、時代の変化だけが成長を後押しするはずがなく、エバーグリーンエクステリアが芽吹くには特別な何かがあったのでないかと問うてみると、何よりご本人が自信の拠り所としたのは、父親の元から始まった20年の職人経験だったと話してくれました。

「僕の場合は、成功体験より失敗の記憶ばかりです。でも、その全てが実になっている。職人というのはどんな仕事も完璧にできたとは思えない人間を指すので、常に反省ですよね。それは今も変りません」

完璧主義というのは、正確無比に仕事をこなしながらも、その先にあるかもしれないより強固な完璧を求めてしまう生まれつきの性分なのでしょう。そんな職人時代からエクステリア専門プランナーとなった現在まで、庭づくりに欠かせないものは何かとたずねたら、こんな答えが返ってきました。

「“絵心”ですね。絵の上手下手というより、何かを表現して伝えようとする力。どの場所に立って、どのように見えるか、というアングルを分析する能力です。どんな街を歩いていても、美しい景色を見つけたらスケッチします。ホテルの庭園などにも筆が動きます。今はコンピュータを使った3D図面でお客様にプランを披露しますが、プランナーとしての“絵心”を鍛えるには自分の手で描くのが大事だと思うんです。それをほぼ無意識ながら創業当時から続けてきたことでお客様の信用を得られたのではないか。そんな自負もあります」

いつまでも安心して使えるエバーグリーンな庭を

では、石井さんにとって庭づくりとはどんなものなのでしょうか。依頼を受けるたび心掛けるポイントを聞きました。

「第一に、お客様にとって生涯ずっと使っていけるものであること。もちろん、デザインには流行り廃りがあるし、家族の成長に合わせた変化に迫られることもあるでしょう。それでもご依頼を受けた最初の段階では、お客様の将来を見据えた上で、長く使える庭を徹底的に考えます。その具体的な方策の一つは、劣化する素材はご提案しないということ。たとえばウッドデッキをお求めになられた場合でも、自然の木を加工した製品はお勧めしません。一時期、枕木を庭に埋める施工が流行しましたが、それも僕らはアイデアから外しました。なぜなら、10年も経てばボロボロになって見映えが悪くなるし、そうならないためのメンテナンスも大変だからです。それが長く使える庭づくりにこだわるプロとしての見識であり、20年の職人経験から学んだ知識でもあります」

一本の木が家の価値を上げる。手入れをする喜びを与えてくれる

石井さんの「長く使える庭づくり」に対するこだわりはエバーグリーンという社名にも表れています。では、日々の生活に自然を取り入れるためのポイントについてはどのように考えているのでしょうか。

「日本には四季があるので、やはり季節の移り変わりを感じ取れることが大事ですよね。僕は雪見窓(障子の下半分にガラスをはめ込んだもの。障子を閉めたまま、外の景色を楽しむことができる)が好きで、あれはいかにもこの国らしい自然を生活に取り入れるための知恵だと思います。だからやはり、庭づくりに欠かせないものと言えば自然の木です。しかし……」

この先、石井さんの口調はいくらか重くなりました。

「お客様それぞれに立地条件や庭の広さという現実的な問題もありますが、全体的には木を植えることをあまり望まれない傾向があります。手入れが面倒であるとか、虫が寄り付くとか。植えたのはいいが雑草を抜くのが面倒くさいとか。おっしゃることは理解できるんですけどね」

この庭の木問題、実は全国各地の同業他社が異口同音で語る実情でもあります。「確かに大変なんですよ」。石井さんはショールームの窓に顔を向けて話し始めました。

「僕もこの敷地の中に自分で植物を植えてみたので、手入れがいかに面倒かは実感しているんです。それでも、手をかけたことで健気に育つ姿を窓から眺められるのは嬉しい。そんな気分をお客様に強制することはできませんが、長く使う庭を自ら手入れする楽しみを知ってもらえたらなあと思います。本当に愛情が沸きますよ。だからガーデンプランにしても、せめて一本だけでも木を植えることは検討して欲しいです。そうすると家の価値が変わります。それは間違いありません」

ここまでの前編では、石井さんの経歴やエバーグリーンエクステリアのコンセプトを伺いました。後編はより具体的な庭づくりのアドバイスを中心にお話をお聞きします。重要なキーワードは“安全と安心”。かなり意外な発注方法も飛び出します。

プロフィール

石井 良男

1971年生まれ。株式会社エバーグリーンエクステリア 代表取締役。学生時代は野球一筋、現在はゴルフが趣味で、スコアはシングル。20歳の時から23年間、職人としてエクステリア業界で経験を積み、43歳で株式会社エバーグリーンエクステリアを設立、今に至る。


HP:http://www.evergreen-ex.com/

Text:田村 十七男
Photos:松嶋 仁