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2018.09.14

株式会社 大興・代表取締役 中村 清隆さん【前編】

自然や家族の成長、安らぎを感じられるお庭はご家族の自慢であって欲しい

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自然や家族の成長、安らぎを感じられるお庭はご家族の自慢であって欲しい
日々の暮らしや住空間に物足りなさを感じているなら、それは“お庭”で解決できるかもしれません。天気に関わらず洗濯物を干せる場所が欲しい、日当たりのいい場所でくつろげる時間が欲しい、家庭菜園に挑戦したい、雑草対策など手間のかからないお庭にしたい……。お庭を活用して、自然を取り入れた豊かな生活を送るためのヒントを日本各地のお庭づくりのプロフェッショナルに伺いました。

約40年に渡り、地元の埼玉県だけではなく東京都や千葉県にも最良のお庭やエクステリアを提供してきた株式会社 大興。高度な技術を要する曲線を描く壁を得意分野とした経緯を中心に、お客様に提案すべきものの核心を、代表取締役の中村 清隆さんにたずねました。

優雅でやわらかい雰囲気が出る曲線の壁

埼玉県久喜市に大興ができたのは、今から37年前の1981年。現在の代表取締役で創業者の中村さんが26歳になった年のことでした。

「子どもの頃には調理師や紳士服の仕立ても夢見たんですよ。ものをつくるのが好きでね。それ以上に、自分のためではなく、食べる人や着る人に合うものをつくってあげたい気持ちがありまして。それで個人宅のブロック壁の仕事を始めたわけですが、独立して大興を始めてから今に至るまで、“自分以外の誰かのために”という気持ちはまったく変わっていません」

大興の本社兼展示場があるのは、一戸建てが立ち並ぶことで空が広く見える街並の中。そこが一目でエクステリア専門店だとわかるのは、通りに面して建ち並ぶ、美しいシルエットが特徴的ないくつもの壁です。特に目を引くのは、道路の角を囲うように建てられた白いタイル貼りの壁。壁の上部は、門扉の部分を頂点に山の稜線のような緩やかな曲線が左右に広がり、なおかつ門扉の左右部分では壁の一部がらせん状に下り、その中の筒状部分に植栽を施すという、実に優雅な造りです。その他、漆喰による壁もほとんどが丸みを帯びています。この曲線を描く壁は、言うまでもなく大興が得意とする技術の象徴です。

  • 展示場内にある優雅な曲線の造りが目を引きます。

「角が嫌いなんですよ」。これは、展示場の壁の施工例に曲線が多い理由を中村さんにたずねたときの第一声です。

「曲線を使うと、壁の距離が長く見えるのでやわらかい雰囲気が出せるんです。デザインとしても美しい。しかしその反面、加工は大変で面倒。時間もかかる。曲線の壁をきっちりつくれる職人も少ないですね」

美しいエクステリアをご提案するために

曲線の壁というのは、一カ所でも曲率が狂えば違和感が露わになるはず。なので素人目にもその技術の高さ、または困難さは容易に想像できます。しかも創業当時から曲線を描く壁をつくり続けてきた中村さんは、複雑な線を全て手書きで図面に表してきたそうです。

「今はもちろんCADですよ」。CADとは、住宅や建築などの設計や図面をサポートするコンピュータのソフトウェアです。現在の大興では、CADによる図面を3D化(立体化)したものをお客様に提示しており、3D図面と完成した実物との差がほとんどないことが評判になっています。

  • 貴重な手書きの図面。

「昔はCADがなく、手書き以外に図面を引く手段がなかっただけの話ですよ。今でもスケッチは手書きです。それをスタッフがCADで3D化してくれます。なぜコンピュータを使わないか? 今さらそこに頭を使うのは面倒臭くてね」

これは後で聞いた話ですが、一般的な壁用ブロックのサイズは横400㎜×縦200㎜。大興が曲線の壁を手掛ける時は、横の長さを半分に切り200㎜×200㎜とし、細かく積み上げて曲線の土台とするそうです。ゆえにブロックを切る手間が増えるだけでなく、積む手間も倍以上になる。なぜそんな面倒な技術を得意分野に選んだのでしょうか?

「仮に曲線の壁が頭に浮かんでも、技術がないので面倒臭がり、あえて手を出さない業者が多いわけです。それを私が自分のものにできたら、この世界で生き残れるじゃないですか。しかも、美しいエクステリアを多くのお客様にご提案できるでしょう。もちろん、曲線を描く壁をやり始めた当初は大変でした。店を軌道に乗せるまではチラシ配りに精を出し、誰もが尻込んでしまう技を体得するのにも時間を取られ、初年度はほとんど休めませんでした。しかし、曲線の壁を始めとする大興ならではの技術を手に入れるためには、自分がレベルアップするためには決して避けて通れない道だと思いました」

自然を生活に迎え入れてくれるやわらかな曲線

そこで思い出したのは、自然界は直線をつくらないという摂理でした。改めて曲線の壁を間近で観察すれば、その精度の高さに溜め息が漏れます。しかし家を含めた外観全体を遠くから眺めれば、実にナチュラルなデザインに感じられます。そこが中村さんの見事に計算された巧みさなのでしょう。しかも壁がらせん状に下って円形部分を生み出す場所に植え込みを設けたアイデアなどは、そこに緑を置く以外にない自然さが感じられます。そこで中村さんに、自然浴生活を叶える庭とはどんなものかをたずねてみました。

「やはり、植物を始めとした自然物は必要ですね。家というのは、緑があってこそ引き立つものですから。もし虫が苦手とおっしゃるなら、できるだけ虫が寄り付かない植木をご用意させていただきます。それから、これは私個人が考える自然浴生活ですが、まず庭というのは、家族が安らげる場所であること。その安らぎ自体を自然に感じられることが大事です。そんな庭を持てるのは家族の自慢になるでしょう。緑はまた、家を引き立たせる要素になるだけでなく、木と子どもの成長を見比べる楽しさも与えてくれます。子どもが大人になり結婚して孫ができたら、その記念に新しい木を植えるのもいい。そんな風にそこで暮らす人々も庭も、自然の流れに任せて変わっていけたらとても素晴らしいですね」

すなわち中村さんがナチュラルな曲線の壁を得意分野としたのは、自然を感じられる庭づくりに欠かせない技術だと考えたからなのでしょう。しかし、時代もまた変化するので、お客様の理想や現実も昔とは違ってきているそうです。

「今は共働きのご夫婦が増えたので、家にしても庭にしても機能優先になりました。庭にデッキを設けても、ほとんどが洗濯干し場として利用されてしまいます。しかし、それではせっかくの庭がもったいない。庭づくりをご希望されるお客様にしても、より価値のある活用方法を知りたいはずです。ではどうすればいいかと言えば、私たちが機能だけでは終わらせない庭の使い方をご提案すればいいのです」

後編では、そんな頼もしい中村さんのコメントをさらに拡大し、庭づくりの具体的なアドバイスを伺います。さらに、中村さん自身が身を削るようにして挑戦しているトピックも紹介します。

プロフィール

中村 清隆

1954年生まれ。株式会社 大興 代表取締役。ものづくりが高じて18歳の時に住宅のブロック壁の職人として仕事を始める。1981年に現在の株式会社 大興を設立。その後、埼玉県久喜市にエクステリア展示場を開設し、約40年に渡り埼玉県の他、東京都や千葉県にも最良のお庭やエクステリアを提供している。大手メーカーのエクステリア施工コンテストでは27年連続入賞。


HP :https://daiko-ex.jp/

Text:田村 十七男
Photos:大石 隼土