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2018.09.28

株式会社 関徳・代表取締役 関谷 剛史さん【前編】

今の時代に合ったスマートな自然の取り入れ方で、より外での開放感を楽しむ

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今の時代に合ったスマートな自然の取り入れ方で、より外での開放感を楽しむ
日々の暮らしや住空間に物足りなさを感じているなら、それは“お庭”で解決できるかもしれません。天気に関わらず洗濯物を干せる場所が欲しい、日当たりのいい場所でくつろげる時間が欲しい、家庭菜園に挑戦したい、雑草対策など手間のかからないお庭にしたい……。お庭を活用して、自然を取り入れた豊かな生活を送るためのヒントを日本各地のお庭づくりのプロフェッショナルに伺いました。

愛知県津島市城之越町で115年に渡り地元のお客様に愛されてきた株式会社 関徳。尾張藩初代藩主・徳川 義直が建立した津島御殿と、今も流れる天王川でこの地域がつながっており、材木商などで栄えた土地。関徳が現在も資材販売を行なっているルーツは土地柄にあるようです。現在、4代目となる代表取締役を務める関谷 剛史さんは、意外にも会社を継ぐ前は東京で広告代理店に勤務。しかし、お客様へのご提案という意味では共通するものがあると言います。

キャンプもいいけれど──お庭で気軽に楽しむ快適アウトドアライフ

先代の代表だったお父様は多趣味で遊ぶことが大好きだったと言います。幼い頃からスキーや、自前の船で毎週のように鳥羽で釣りを楽しみ、自然と触れ合っていた関谷さん。また、友達同士でやんちゃな少年時代の遊びも身近にあったと言います。

「学校から帰ると近所の川でよく魚釣りをしていました。悪ガキが集まって餌のカエルを田んぼで捕まえて、魚を釣って。いまだに社員の間で有名な笑い話になっているのですが、この展示場のあった場所に実家がありまして、その庭の池で父が赤い小さな金魚を1,000匹くらい飼っていたんですが、ある日、川で立派な雷魚を釣って有頂天になった僕は、深く考えもせず、その雷魚をその池に放りこんでしまったのです。すると父の大切な金魚が一週間で全滅してしまって、それはもうめちゃくちゃ怒られた覚えがあります(笑)」

そんなワイルドな少年時代を過ごした同世代の男性が、今、アウトドアにハマっている実感があると関谷さんは言います。

「最近では登山やキャンプなど、アウトドアで自然と触れ合って余暇を過ごすことが、幅広い世代で流行していますよね。私自身も昔からアウトドアで過ごすことに慣れ親しんでいますし、仕事もこういうことをしているので、外に出ることで明らかに気持ちが変わるのは本能としてわかるんです。一言で表すなら“開放感”ということになるのかもしれませんが、明らかに気持ちが良くなる。やはり昔遊んでいた頃の気持ちに戻りたいのか、今のアウトドアブームやガーデンブームは、子どもの頃に遊びといえば外遊びばかりだった僕らのような世代が中心的なマーケットだと思うんです。それだけに気持ちがわかる。あの高揚感みたいなものはやはり自然ならではなんだろうな、と」

会社からほど近い大型スポーツ洋品店が、アウトドアグッズの取り扱いを始めた途端、交通整理が必要なほどに混雑していたことにも、ブームの定着を感じているそう。

「私自身はキャンプまではしないんですが、その手前である自分のお庭でのんびりするのが好きです。キャンプが好きな人は、外で料理をしたり、自然の中で自分の世界をつくれるのが楽しいんだと思います。もちろん、キャンプやバーベキューもしたいんですが、もう少し楽で快適にやれるのが一番かな、と。世の中の流れも大半がそうだと思うんです」

手間はかけたくない、でも偽物だけでは満足できない、現代の“自然との共存”

川遊びやスキーで感じた、自然と触れ合うことで気持ちが解放される心地良さ。それを本能的に知りつつ、現代の暮らしに合わせた合理性を提案している関谷さん。

「私自身が自分の家をつくるときは、庭の手入れに手間がかからないように、ガーデンルームを設置して、ちょっとした離れのようなスペースもつくって、人工芝をひいたのですが、一方で、木も育てたかったので何箇所か植えました。私が記憶している80年代の自然を取り入れた暮らしはもっと、より自然だったんです。雑木林とまではいかないですけど、かなり自然のままでした。それが今は形が変わってきて、それこそ芝生と人工芝だと圧倒的に人工芝が多いですし、時代が手のかからないスマートな“自然浴生活”に憧れていると思うんです。緑は溢れている方がいいけれど、手間がかかるのは嫌に決まっている(笑)。でも手間がかかるのは嫌だと言いながら、本物の木も2、3本は植えたい。やはりそこに作り物を置きたいとはみなさん思っていなくて。そういうバランスが今時の人たちの自然との接し方だと思いますね」

今日も一本の木にストーリーを込める

30歳を前に実家である会社に戻った際、実務を担当していた前任の担当者からの引き継ぎ期間は2週間しかなかったという関谷さん。“社長の息子”であることから、周囲からもエクステリアの勉強もどこかでしているに違いないと思われ、当初はとにかくお客様の話を傾聴し、課題を調べ、仕事一つひとつを覚えることで乗り切ってきたと言います。そこにはどんな些細な糸口からでもお客様のニーズを引き出すスタンスが、職種が変わっても根本にあることが窺えます。その共通項の一つが提案の中に“ストーリー”を持たせること。

「お客様への提案も営業トークも一連のストーリーがあるかないかで、説得力が違うんです。なんとなく作ったプランは説明も『ここ、こうしました。ああしました』で5分10分で終わってしまいます。でも、もしそれが限られた予算のプランでもコンセプトを持って、こういう思いでここに格子を作って、日よけを作って、ここに木を植えましたと一連のストーリーを話せることが大事だと思います。そうでないとすごくぼやけた提案になってしまいます。そこは広告代理店での経験がとても役に立っています」

お客様の希望をすくい上げ、その希望を予算という現実的な側面のアイデアも提示し、希望を叶える。それは広告のお仕事でクライアントの希望を汲み、プレゼンテーションを行い、限られた予算の中でも結果を出すことに通底するのかもしれません。そのどちらにも実現をイメージさせる“ストーリー”が不可欠だからです。それはもちろん、お客様が庭づくりに何を求めているのかを察する場合にも大きく関わります。

「ご自分の思いを具体的に伝えられるお客様は意外に少ないので、エクステリアのプランを提案するときは常にヒントを探しています。例えば、その人は家づくりのこういうところに力を入れているんだなとか、こういうものが好きだとか、一番大事にしているものは何か。プライベートなのか、セキュリティなのか、それらがわからないとプランを立てられないんです。お庭もそうで、どういう風に使いたいのか、お子さんがどれぐらいの年齢だから、どういうところに配慮したのか、それらが含まれた提案の場合、お客様はスッと腑に落ちてくださるんです」

お客様一人ひとりのニーズを丁寧な傾聴ですくい上げていくうちに、多くのお客様が今求めている自然と触れ合うライフスタイルと、それを実現するプランをいくつも実現してきた関谷さん。後編では、より具体的なお庭づくりのアドバイスを伺っていきます。

プロフィール

関谷 剛史

1973年生まれ。株式会社 関徳代表取締役。東京での広告代理店勤務を経て、曽祖父の代から続く会社の代表へ。建築資材の販売からスタートした会社だけに現在もエクステリア設計施工と建材販売の2本柱で操業。建材・資材の販売店の「材料費の低価格」も強み。大手メーカーのエクステリア施工コンテストでの受賞事例も多い。


HP:http://www.sekitoku.net/

Text:石角 友香
Photos:大石 隼土