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2018.09.28

株式会社グリーン・エクステリア・代表取締役 永井 秀明さん【前編】

自然に包まれ、時間の流れに身を委ねる──。生きる実感を与えてくれる、その土地の“香り”を感じる暮らし。

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自然に包まれ、時間の流れに身を委ねる──。生きる実感を与えてくれる、その土地の“香り”を感じる暮らし。
日々の暮らしや住空間に物足りなさを感じているなら、それは“お庭”で解決できるかもしれません。天気に関わらず洗濯物を干せる場所が欲しい、日当たりのいい場所でくつろげる時間が欲しい、家庭菜園に挑戦したい、雑草対策など手間のかからないお庭にしたい……。お庭を活用して、自然を取り入れた豊かな生活を送るためのヒントを日本各地のお庭づくりのプロフェッショナルに伺いました。

自分自身のスタイルで、生活に自然を取り入れる──。株式会社グリーン・エクステリア代表取締役の永井 秀明さんは、そんな風に無理なく自然を取り入れるライフスタイル提案しています。

兵庫県の中南部・東播磨のほぼ中心に位置する兵庫県小野市に生まれ育った永井さんは、ゼネコンでの勤務を経て、グリーン・エクステリアを設立。地域に寄り沿い、顧客の思いを載せた庭づくりを行っています。十数年前に独立し、5年前には小野市の中心地に展示場をオープン。ますます地域との関わりを深めている永井さんに自身と自然との関わり、自然を日々の生活に取り入れることの醍醐味について伺いました。

「芸を磨いてまい進しなさい」祖母の言葉を胸に独立

兵庫県内最大の加古川の下流域の小野市でグリーン・エクステリアを営む永井さんにとって、自然は特別なものではありませんでした。物心ついた頃から、自然は生活と共にあったと言います。

「実家は兼業農家でした。小さい頃から農作業を手伝わされていましたし、遊び場は田んぼでした。自然は癒してくれるものではなく、“あって当たり前”という感覚なんです」

社会人になると、建設の施工全体を管理するゼネコンで現場監督として働き始めた永井さん。当時、様々な工程のなかで、特に好きだったのが、土に関わる作業や造形、左官などの仕事で、重機など機械に触れることも好きだったそう。

「祖父母は商売人でした。子どもの頃から何度も『芸は身を助ける』『なんでもいいから手に職を付けなさい』と言われて育ってきたので、ゼネコンで経験を積み、国家資格を取得しながら、いつかは独立したいという思いは常に抱いていました。そんな時に、建物の外回りを演出するエクステリアというものを知り、また、3D_CAD(設計を立体化するシステム)に出会ったんです。会社員時代は現場を管理し、図面を書くことが主な仕事でしたが、エクステリアという分野ではそれを活かして仕事ができると思いました」

永井さんが独立を決意した17、8年前はまだエクステリアの黎明期。エクステリアという言葉を知る人は、ほとんどいないような時代でした。それでも永井さんには、ある確信があったそうです。

「手に職を付け、それを活かして、自分の好きなことにまい進していきなさい、好きという気持ちを頼りに頑張ることができる──。祖母が私に残してくれた言葉は、今も僕の支えになっています。独立当時、業界ではまだ造園のほうがメインでしたが、エクステリアという分野が今後、伸びていくという確信はありました」

その土地の“香り”を体全体で感じる暮らしが生きる実感を与えてくれる

独立した直後は、昼間は現場で作業を行い、日付が変わるまで図面を書いていたという永井さん。リフォームも手がけていましたが、やがてエクステリアに特化。お隣の加古川市にも支店を出すなど、順調に事業を広げています。

「仕事はとても楽しくやらせていただいています。図面を書くのも好きですが、現場に行き、自然の中に身を置くと、今でも心が躍ります。色々な現場で、色々な自然を感じることができるのはなかなかない仕事。今年は記録的な猛暑でしたが、それでも外で仕事をするのはとても気持ちが良くて、時間を忘れて熱中してしまうこともしばしばです(笑)」

仕事で様々な場所に出かけることが楽しくてしかたないと、永井さんはきらきらと瞳を輝かせます。

「様々な場所で作業して感じるのは、それぞれの土地はそれぞれ異なる香りを持っているということです。その場所でしかつくり出せない独特の香りがあるんです。例えば、私の住む小野市では田んぼを焼いた匂いだったり、木や花の香り、池や川の流れの香りなど……うまくは言えませんが、そこで暮らす人たちや自然環境がつくり出すオリジナルの香りがあるんです」

大切にしているのは、その土地の香りを意識した庭づくり。その土地の空気、家から見える風景もまた庭づくりを考える上で重要なファクターであり、自然と図面に反映されるものだと言います。

「目に見えるものだけではなく、雰囲気も自然を構成する一つの要素ではないかと思うんです。お手伝いさせていただいたお庭を久しぶりに拝見させていただくと、施工を手がけたときの思いがよみがえってきて、少しくすぐったいような、懐かしいような気持ちになることもあります。土地の自然を実感し、自然と共に生きていくありがたみが実感できます。そして、手作り感のある“味わい”を生みだすことができ、一つとして同じものがないことも、エクステリアにまつわる仕事の楽しさでもあると考えています」

自然を感じ、時間の流れに身を委ねる暮らし

自身が「あって当たり前のもの」というように、肩肘張らずに自然と寄り添い、自然と共に生きることを提案している永井さんに、“自然浴生活”という言葉に対する想いを聞いてみると少し間を置いて、こんな言葉が返ってきました。

「そうですね。同じ場所でも昼と夜によって表情が違うでしょう? 昼は明るく動きのあるスペースが、夜は静寂に包まれて、虫の鳴き声が響いたり、ワインが似合う空間に変化したり。“自然浴生活”という言葉には、時間軸によって雰囲気が変わるという意味も含まれているように思います。でもね、自然との生活って、特に難しく考えなくてもいいと思うんですよ。難しく考えてもしんどいだけじゃないですか(笑)。例えば、ちょっと家の外に出て緑を見たり、室内とは異なる風景に身を委ねてみたり──、それだけでも充分に癒されるのではないかと思います」

自然を楽しむには決して身構える必要はなく、無理のなく等身大の自分で自然と接していけばいい──。穏やかに、でもきっぱりと語る永井さんの言葉には、自然ともっと仲良くなるためのヒントが詰まっています。


後編では昨今のお庭づくりの傾向や永井さんのお庭への想い、具体的なお庭づくりのアドバイスについて伺っていきます。

プロフィール

永井 秀明

1971年生まれ。株式会社グリーン・エクステリア代表取締役。ゼネコン勤務後、グリーン・エクステリアを設立。生まれ育った兵庫県小野市を拠点に、地元に密着した。お庭への「想い」を「カタチ」にする外構、エクステリア施工を手がけている。


HP:http://green7.jp/

Text:長谷川 あや
Photos:松嶋 仁