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2018.09.07

株式会社エクセル・代表取締役 川畑 貴志さん【前編】

野菜を育てる。魚と格闘する。自然と向き合うことで育まれ、受け継がれる家族の絆

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野菜を育てる。魚と格闘する。自然と向き合うことで育まれ、受け継がれる家族の絆
日々の暮らしや住空間に物足りなさを感じているなら、それは“お庭”で解決できるかもしれません。天気に関わらず洗濯物を干せる場所が欲しい、日当たりのいい場所でくつろげる時間が欲しい、家庭菜園に挑戦したい、雑草対策など手間のかからないお庭にしたい……。お庭を活用して、自然を取り入れた豊かな生活を送るためのヒントを日本各地のお庭づくりのプロフェッショナルに伺いました。

大阪府守口市に本社を置き、大阪と神戸を結ぶ阪神地域のお庭づくりをサポートしている株式会社 エクセル。職人さんを自社で雇うことで実現した丁寧で堅実な仕事ぶりや、植物の魅力を伝えるワークショップが評判のお店です。その代表取締役を務めるのが川畑 貴志さん。現会長である父・川畑 満徳さんから経営を引き継ぎ、親子二代に渡り地域のお庭づくりを支えています。

三世代で楽しむ家庭菜園

「大阪は都市部ということもあり、最近ニーズとして増えているのは、観葉植物や多肉植物といった、虫がつきにくく、手入れがしやすい緑を置く生活スタイルです。とはいえ、自然や緑の魅力は様々なので、お客様にあった形でお庭をご提案しています」

そう語る川畑さんが自然や緑の魅力を知ったのは、父・満徳さんとの幼少期の体験にまでさかのぼります。家庭菜園が趣味の満徳さんは、本社のある守口市から2時間ほど離れた郊外に本格的な家庭農園を持ち、野菜や果物を育てています。川畑さんの幼少期から始まったこの趣味は、徐々に本格的なものになり、今では20m程度の畝を10本持つほどになっているそうです。大阪の都市部で生まれ育った川畑さんにとって、こうした家庭農園での体験は、とても貴重なものでした。

「私が小さい頃は、今ほど本格的ではなかったのですが、それでも父親の家庭菜園でトマトやなすを一緒に育てていたのはとても楽しい経験でした。今は孫が『おじいちゃんの野菜がおいしい』と言ってくれるのが嬉しいようで、子どもたちが好きな農作物を植えてくれるので、私たち家族も畑を手伝いに行って、できた野菜や果物を収穫します。畑で芋掘りをしたり、カエルに触れたりすることは、子どもたちにとって普段の生活ではできない貴重な体験になりますし、朝から晩まで汗をかいて農作業するので、そうやって自分たちで収穫したもので食卓を囲むと、食べものを残したりすることもなくなります。今ではスイカやメロンのような果物まで採れるようになったんですよ」

自然の中で育まれ、受け継がれる家族の絆

川畑さんはエクセルの代表として忙しい毎日を過ごす一方で、休日には家族でキャンプや旅行に行くなど、様々な形で自然を楽しんでいるそうです。

「休みの日には朝早くに起きて、子どもと一緒に魚が釣れるような川辺でキャンプをしています。子どもの釣り竿も用意して、釣り方を教えて楽しんでいます。子どものときの体験というのは、すごく大切なものだと思います。いつかは成長して自分のもとを離れる時も来るはずですが、小さい頃にそういう体験をしていると、大人になってからまた一緒にキャンプや釣りに行けるかもしれませんし、その記憶が残っていれば、子どもたちが成長して家庭を築いた時にまた同じように、自然の中で遊ぶ楽しさを伝えてくれるかもしれません」

自分が小さい頃に経験した自然や緑の中で遊ぶ楽しさを、子どもたちにも伝えてあげたい。川畑さんがそう考える理由は、自身が満徳さんとの思い出の中で感じた、家族と過ごす団らんの楽しさ/大切さが関係していました。

「私は休みが平日なので、なかなか子どもとスケジュールが合わないのですが、長い休みが取れる時には海や山にも行きます。伊勢に行ったり、京都の天橋立に行ったり、近場の山に行ったり──。子どもが長い休みに入る夏休みの時期には、毎週のようにキャンプに行く予定を立てています。もちろん旅館に泊まるのもいいですが、キャンプの場合は現地で子どもと一緒に体験できることがたくさんあります。親子で協力してテントを張ったり、釣りをしたり、釣った魚をその場で調理して食べたり──。そういった“家族団らん”の時間を通じて、親子の絆が深まるということを、子どもと親、双方の立場から経験しました。どこに行くかももちろん大切ですが、それよりも誰と行くかが大切で、だからこそ予定を立てる段階からとても楽しくなる。それは、お庭にも通じることかもしれません。実際、『ガーデンルームがほしい』と相談にいらっしゃる方には、ご家族の仲がいい方々がとても多いです。そうしたお客様の気持ちはよくわかりますし、お宅にお邪魔すると生活スタイルや置いてあるものが自分と同じものだったりすることも多いですね」

お庭も信頼関係も時間をかけて育む

そうした体験の楽しさを伝えるために、エクセルでは緑の魅力を家族で体験するためのワークショップや、ガーデンルームに関する疑問を解決するための相談会を定期的に開催しています。ここでもまた、生活の中で緑に触れ、考える機会が生まれます。

「イベントではワークショップを通じて実際に緑に触れてもらったり、多肉植物をプレゼントしたりしています。あげて終わりという形にはしたくないので、来てくださった方に持ち帰って育てていただけるようなものを選んでいますね。また、会社に飾っている観葉植物や花は社員自らが花屋に足を運んで購入していて、その中でいいものがあればお客様に薦めることもあります」

お庭をつくる仕事は、そこで暮らす人々のライフスタイルをサポートしていくもの。だからこそ様々な角度から、暮らしにつながるアイデアを伝えることが大切です。そうした意味でも、自然や緑の魅力を幼少期から楽しんできた川畑さんの経験は、今のお仕事に活きているのかもしれません。

「お庭はご家族の暮らしと密接につながるものなので、ライフステージの変化によってその役割が変わっていきます。“つくって終わり”というものではないので、そのご家族と長く関係を築きながら、そうした生活の変化をサポートしていきたいと思っています。お庭は家と違って予算の目安がわからないことも多く、お客様からするとどのくらいの予算でどんなことができるのかわかりづらい面もあると思います。ですから、時間をかけてご家族のやりたいこと、できることを汲み取って、一人ひとりに合ったお庭づくりを心掛けていきたいです」

この前編では自然の楽しさや魅力を中心に語ってくれた川畑さん。後編では、より具体的な事例などをもとに、お庭づくりへのアドバイスを伺っていきます。

プロフィール

川畑 貴志

1972年生まれ。株式会社 エクセル代表取締役。高校時代、夏休みのアルバイトで職人さんと一緒にガーデンルームの組み立てを行なった経験から、エクステリアやお庭づくりに興味を持つ。エクステリアメーカーに就職し、専門店へのガーデンルーム販売を経験したのちに、株式会社 エクセルに入社。現場やメ-カ-での経験を生かし、今に至る。


HP:http://www.iemawari.com/

Text:杉山 仁
Photos:大石 隼土