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2018.09.28

ザ・ガーデン・エリアマネージャー 松崎 隆文 さん【前編】

設計するのは直に自然を感じることで心身のバランスが整う暮らし

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設計するのは直に自然を感じることで心身のバランスが整う暮らし
日々の暮らしや住空間に物足りなさを感じているなら、それは“お庭”で解決できるかもしれません。天気に関わらず洗濯物を干せる場所が欲しい、日当たりのいい場所でくつろげる時間が欲しい、家庭菜園に挑戦したい、雑草対策など手間のかからないお庭にしたい……。お庭を活用して、自然を取り入れた豊かな生活を送るためのヒントを日本各地のお庭づくりのプロフェッショナルに伺いました。

宮崎、鹿児島エリアで土木、建設業を半世紀営んできた都北産業株式会社。そのエクステリア部門の中で、一般のお客様向けの店舗として2003年に新たに発足したのが「ザ・ガーデン」です。現在、宮崎県に一の宮店、都城店、鹿児島県に東開店、姶良店の4店舗を構え、南九州にお住まいのお客様のお庭やエクステリアの設計・施工を幅広く手がけています。今回はエリアマネージャーの松崎 隆文さんに、生活に豊かさをもたらす自然の魅力と、具体的なお庭づくりや植栽についてのアドバイスなどを伺いました。

緑まばゆいショールームがつないだ縁

インタビューを行ったのは宮崎空港からほど近い、ザ・ガーデン一の宮店。ショールームの多彩な木々にはそれぞれの特徴やお手入れ方法のカードが提げられています。また、ガーデンルームや、ピザ釜やアウトドアキッチンなど、体感できるディスプレイが、お庭づくりのイメージをかきたてます。

実は松崎さん、都北産業でエクステリア部門が本格的に立ち上がる前は、住宅などの建築物の設計や作図をコンピューターで行うCADオペレーターをされていたそう。 「工業系の会社に就職し、配属先でCADを使用して設計・製図を行っていましたが、閉塞感を感じていまして。もう少し自分の能力を開放感のある場所や仕事で活かしたいと思っていました。そんな時、通勤の途中で都城店の前を通りかかったんです。噴水に木々が寄り添って、『ああ、きれいだな。何のお店だろう?』と思っていました」

第一印象で好感を持ったその空間が都北産業のエクステリア展示場でした。知り合いの紹介で入社し、仕事をすることになったという縁を感じるスタート。当時23歳だった松崎さん。当初は図面関係の仕事をしつつ、徐々にエクステリアの知識や経験を蓄積。同時期に開催された全国都市緑化フェア「グリーン博みやざき’99」以降、ガーデニングなど、庭づくりや庭いじり、そしてエクステリアに対する機運が高まったと言います。

宮崎生まれ宮崎育ちの松崎さんは、幼少時代は近くの川で泳いだり、自転車で何キロも先の遠くまで友達と遊びに行くなど、田舎にある風景そのままの少年時代を過ごしたと言います。

「普通の田舎の子どもですよ(笑)。大人になってからはアウトドアな嗜好もなく、むしろ今の仕事に携わるようになってから、自宅の木や芝を手入れすることで、意外と気持ちがいいものだなと自分の体感をお客様に伝えられるようにはなりました」

大人になって知った、芝生の上を裸足で歩く気持ち良さ

松崎さんが自然のパワーを感じるようになったのは、知人から“裸足で自然と接する大切さ”を聞いたことがきっかけでした。

「幼い頃には当たり前のことでしたが、大人になって改めて靴も靴下も脱いで芝生に立って歩いたら、なつかしく、心地良く、何とも言い難い開放感を得られたんです。加えて、木々の葉っぱが揺れて、陽の光が木陰に差し込むと、靴を履いている時とは全然空間の感じ方が違うことに気づいたんです」

砂浜もただ見ているのと、裸足になって波打ち際で海水に触れるのでは呼び覚まされる感覚が違うもの。

「そういう部分を実感し着目し始めてから、庭づくりに対する考え方が変わってきました。お手入れが面倒だからコンクリートで固めてよというお客様も多いのですが、手をかけた分だけの良さは必ず感じられるので、一戸建てのお客様には一度は芝庭にチャレンジしましょう、芝生を裸足で歩く気持ち良さをお子さんにも伝えていきましょう、とご提案することが増えました」

「日本の住宅は区割りされた制限のある中での施工なので、理想と現実は必ずしも一致しないのですが、お庭に手をかければ、身近なちょっとした空間であっても、癒しの空間になって、家族の生活が豊かになる。そのお手伝いをしていきたいと考えているんです」

身近な空間でも自然を感じることはできると気づいてから、昔の日本家屋の必然性も理解できるようになったと言います。

「日本の家屋は、元々は四季の移り変わりに合わせて日差しを調整したり、雨をしのいだりするために、軒が深い造りになっていたんです。宮崎も比較的雨が多い地域ですので、雨風をしのぐという合理的な部分も大切ですが、雨音を楽しめるとか、そういったことに豊かさを感じていたんだと思うんです」

日本の伝統的な家屋は少なくなってきましたが、現代でもガーデンルームや屋根テラスがあれば雨に濡れないだけではなく、一瞬でも雨音を楽しんだりと、雨の日は雨の日の良さを感じることもできるのでは?というのが松崎さんの考え方です。合理的な面から雨よけを設置するにしても、結果的には、その空間も自宅のお庭であれば自然を愛でる気持ちの余裕につながってくるのではないでしょうか。

高い木が生み出す自然の存在感

ショールームに様々な木を植え、維持管理や育て方の説明を添えているザ・ガーデン。積極的にお庭に木を取り入れることを提案するのには根拠があります。

「自然を感じる要素は、努力してもなかなか生み出せないものです。そこで木々の高さや樹形の存在感が生み出す空間を大切にしています。うちの社長からよく聞かされることの一つですが、木も高さが2〜3mのうちはあまり良さを感じません。4〜5mの高さになって初めて存在感を増し、自然な空間をつくり出してくれるものなのです」

  • 宮崎県のシンボル、ワシントニアパーム。こちらは10mを優に超える高さです。

4〜5mの高さの木を見上げると、自然と空が目に入ります。

「それに高さのある木は夜の風景にも映えるんです。共働きのご家族だと、ご主人も奥様もお家でゆっくり過ごされるのは夜になりますよね。そこで夜の過ごし方をリビングでテレビを見るとか、そういうことから少し離れて、ライトアップされた木々がある庭に出てみたい、眺めてみたいという風に、何らかの価値を見出すお庭があると、ライフスタイルも変わってくると思います」

松崎さん自身、もともとは自宅と会社を車で往復する毎日を過ごし、自宅のお庭での時間をあまり持てていなかったと言います。開放的な空間で仕事をしたいという欲求から、ザ・ガーデンで仕事をするようになり、お客様の要望を叶える努力をする中で、お庭がもたらす心地良さや、自然のエネルギーを実感してきた様子がよくわかります。それだけに、お庭に手をかけてあげる程、充足感があり、家族の時間が楽しくなることを働き盛り世代のリアリティを伴って、説明できるのだと感じます。

後編ではお庭づくりやリフォームに際してのアドバイスや、変わりつつあるライフスタイルについてお話をお聞きしていきます。

プロフィール

松崎 隆文

1974年生まれ。宮崎県出身。CADオペレーターとして機械系の会社での仕事を経て、1998年、都北産業株式会社に入社。2003年に同社が一般の顧客向けの「ザ・ガーデン」を設立すると、エクステリア全般の業務を担当し、現在はエリアマネージャー兼都城店店長を務める。二級造園施工管理技士資格を保有。


HP:https://the-garden.jp/

Text:石角 友香
Photos:新本 真太郎