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2018.10.12

株式会社 笠建工業・代表取締役 笠井 昭宏さん【後編】

広すぎる庭も、狭すぎる庭も、“使える庭”が日々の暮らしを面白くする

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広すぎる庭も、狭すぎる庭も、“使える庭”が日々の暮らしを面白くする
日々の暮らしや住空間に物足りなさを感じているなら、それは“お庭”で解決できるかもしれません。天気に関わらず洗濯物を干せる場所が欲しい、日当たりのいい場所でくつろげる時間が欲しい、家庭菜園に挑戦したい、雑草対策など手間のかからないお庭にしたい……。お庭を活用して、自然を取り入れた豊かな生活を送るためのヒントを日本各地のお庭づくりのプロフェッショナルに伺いました。

愛知県知多半島や名古屋市全域、三河地区の外構、土木、造園の設計、施工を行うK’sエクステリア。2003年5月に現代表取締役である笠井 昭宏さんが設立。2005年に開催された愛・地球博(愛知万博)の開催期間に土木業者として笠井さんが立ち上げた同社ですが、万博終了後を見越して早めに外構工事業にシフトし、お庭づくりに携わる中で、その良さを実感してきたという笠井さん。前編では、お庭を活用することで家族やご近所とのコミュニケーションを生む事実に笠井さん自身、育てられたという言葉が印象的でした。後編では具体的なご相談や解決策をご紹介していきます。

広すぎるお庭の悩みにガーデンルームを。管理面積を減らし、空間を有効活用

中部地方の中でも名古屋市内から少し離れたエリアは、敷地も広く、中には30坪程度のお庭を持つお客様も。

「敷地が大きいところほど、雑草は生え放題で持て余してらっしゃる印象です。そういう場合は管理面積を減らすんです。平均して15〜20坪のスペースがあるとすれば、そこにガーデンルームなど、家の中と外の中間の空間をつくる。そうすることで手間のかかる管理面積も減らせますし、ガーデンルームをリビングとしてくつろぐこともできる、ダイニングとして食事をとることもできる、たまにはバーベキューをしてみてもいいかもしれないし、色々なことができますよね」

一方で、きれいで開放的な海外の庭の写真を持参されるお客様には、理想を踏まえた上で実際にはどんなデメリットがあるかをきちんと説明すると言います。

「これは僕の持論ですけど、日本は1年に120日前後も雨が降るんです。それを、雨期のない欧米の文化をそのまま輸入しても仕方がない。雨が降っている時に庭に出ますか?今年のような猛暑日の続く真夏や蚊がいる中で、庭に出ますか?また、真冬はどうですか?とお聞きするんです。そう考えると、デッキやタイルテラスを付けるんだったら、屋根や囲いも必要になってくるし、付ければ春夏秋冬、昼夜関係なく使えますよ、とご説明します」

完璧を目指さず、必要に応じて庭づくりを楽しむ

そもそも放置していたお庭を「どうやって使えばいいのかわからない」とおっしゃるお客様も多いそう。そこで、庭を使う頻度を上げるために、ご家族の形態や暮らし方を丁寧にヒアリング。共働き世帯が増え、しかもゲリラ豪雨など異常気象にも対応できるよう、まずは屋根のある洗濯物干しスペースをつくることからはじめてみるだけでも、安心感が違うと言います。

また、お客様の大半は新築一戸建てを購入したのち、相談に訪れる方も多いそう。

「皆さん、庭をつくって、実際に春夏秋冬過ごしてみて、初めて『これをもうちょっとこうしたかった』『もうちょっとお金をかけてでもこうしておけばよかった』というところは出てくるものです。でも、僕ははじめに『これは後々やりましょう』と提案することも多いですね。必要になったらまた声をかけてください、と。最初から完璧にやるとお金もかかりますし、ライフスタイルも変わるし、1回でやってしまうと楽しみもなくなるので、『まぁ、ゆっくりでいいんじゃないですか』と、お話ししています」

狭いと思っているスペースも実はこんなに活用できるかも?

敷地が広すぎて管理できないというお悩みとは逆に、スペースが狭すぎてお庭をつくれないというイメージを持っている人にはこんなアドバイスも。

「狭いから使えないと思っている人は、タイヤを置いたり、自転車が倒れていたり、庭が庭ではなくて収納スペースになっている場合が多いです。そういう場合は収納は別につくりましょうと提案して、出幅が少ないガーデンルームの提案をさせてもらうと、デッドスペースになっていた空間が活きてくるんです」

「狭くてどうせ使えない」と諦めて物置きにしてしまっていた空間も、工夫次第で、使える空間に蘇らせることができるのですね。

「小さい庭でも満足できるものはできますからね。例えば、リビングに面した窓の外に小さいガーデンルームを設置して、さらにそのすぐ先に小さな畑をつくったお客様がいるんですが、家と畑の間にガーデンルームが介することで、窓を開ければすぐそこが自然じゃないですか。そういう意味では庭の大きさはあまり関係なく、使い方をしっかりご提案すれば、満足のいくスペースになると思っています」

暮らしを面白くする庭を提案

最近では、築5〜10年の自宅のお庭のリフォームを検討している30代〜40代の方から、長年住みなれ、愛着のあるこの土地で、そのまま退職後の人生設計をされている60代の方まで、幅広い世代の方が相談にやってくるそうです。

「一概には言えないんですが、どの世代の方も家を建てた時の庭に満足していない方が大多数なんです。その場合はリフォームですね。現実的に一時期流行った木製デッキが古くなったり、シロアリの心配が出てきたり。残せる部分は残しながら、やはり安全面を考えると解体する場合が多いですね。その場合も、庭を活きたスペースにしたいからなんです。例えば、お孫さんが遊びに来るからとか、みなさん実は目的があって庭のリフォームを希望されているんです」

お客様との長いお付き合いの中で、必要に応じてメンテナンスの依頼が頻繁にくるのも、庭という家族のライフスタイルやライフステージの変化とシンクロする場所ならでは。笠井さんは、よく野菜などちょっとした手土産とともにお客様の元を訪れるなど、肩の力の抜けたお付き合いもされています。

「お客様には庭での暮らしが面白くなるように提案します。極端な話、面白くない案には猛反発します(笑)。人間、楽しくないと結局使わないですからね」

何より使われる庭、活きた庭づくりをお客様と腹を割って徹底して話される笠井さん。それは長年この土地でお庭づくりやその家族の人生に寄り添うことで、お客様とも旧知の友人のように打ち解け、信頼し合える関係を築いてきたことが窺えるお話でした。日々の暮らしに密着した笠井さんのアドバイスは、私たちもぜひ参考にしたいものです。

プロフィール

笠井 昭宏

1975年生まれ。2003年に愛知県名古屋市に外構、エクステリア工事や庭づくり、人工芝などの販売会社として設立。半田市にはショールームも構え、主に愛知県内の施主の要望に応える。大手メーカーのエクステリア施工コンテストでも多数の受賞歴を誇る。


HP:http://www.artista2005.com/

Text:石角 友香
Photos:大石 隼土